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2011/07/12

イベントレポート:Venture Cafe 『世界中で使われるサービスを考える』 での学び


Venture Cafe 『世界中で使われるサービスを考える』 に参加してみた。
このイベントは7月8日、9日と二日間かけて開催され、エンジニア、デザイナー、プランナーというバックグラウンドの異なる人が集い、世界中で使われるサービスを自分たちで企画するというもの。
以下、イベント中に出会った人との会話やプレゼンターの話の中で印象に残った話についてまとめてみた。


トーク1: F-quest 代表取締役 笠木 彩さん

当イベントの企画者。
ベンチャーで働くことの楽しさ・やりがいを少しでも多くの人に伝えたい、という気持ちから F-Questを開始。
1. 企業が人材採用関連情報を発信するインターネット上のシステム及びサービスの提供 2. 人材採用情報に関するポータルサイトの企画・運営 3. 企業の人材採用活動に関するコンサルティング 4. インターネットにおける広告業 5. 前各号に附帯する一切の業務を手掛ける。
F-quest
http://www.f-quest.com/fquest/



キーワード:”東京のシリコンバレー化”
シリコンバレーでは優秀な人材がスタートアップ業界に流れる一方、東京では優秀な人材が大企業に集まることを問題視。

なぜ日本人はスタートアップではなく大企業で働きたがるのか?
・大きな理由の一つは「スタートアップで働く際のリスクに対する報酬の期待値が低いこと」
・報酬というのは、ここでは自分が設立したスタートアップが上場、あるいは買収されて得られるキャピタルゲインを指す。
・アメリカと日本を比較した場合、日本ではアメリカほど企業買収が頻繁にない(買い手が少ない)。また、上場しても株価がそこまで跳ね上がらない。従って、スタートアップで働くというリスクをとることが割に合わないと、判断する人が多い。優秀な人材ほど現在手にしている給料が高いはずであり、その傾向はますます強まるだろう。
・また、大企業からスタートアップというキャリアはあり得ても、スタートアップから大企業というキャリアは稀であるということも、優秀な人材が大企業を選ぶ理由になるのかもしれない。

「ベンチャーから大企業へ」 新しいタイプのキャリアの増加
上記のような話を笠木さんに対してしたところ、興味深い指摘を頂いた。
というのは、ベンチャーから大企業というキャリアパスも実は最近は増えてきているらしく、そういう事例をたくさん知っているとのこと。むしろ、通常なら手が届かなかったであろう日本の大手企業に、就職(転職)できたというケースもあるらしい。
今後はこういうキャリアの可能性もあるという情報を発信していくことが必要だろうというお話しを頂いた。
確かに、サンフランシスコで大変お世話になった方も学生時代に起業し、その企業の経営者を務めた後に、某大手日本企業に移って、現在はそこで働いている。
終身雇用というシステムが崩壊しつつある今、日本の労働市場も少しづつではあるが変化をしてきているのだろう。いずれにせよ、笠木さんからこの辺の話、改めて聞きたいなぁ。




トーク2: sunbridge Vice President 川鍋 仁さん

シリコンバレーにある、ベンチャー企業を対象としたインキュベーション施設「プラグアンドプレイテックセンター」にて、日本企業を対象とした支援、インキュベーションを手掛ける
sunbridge
http://www.sunbridge.com/





最近のIT・Web業界のトレンドについて
・コアテクノロジーからサービスへと流行りのビジネスが変化してきているというご指摘。
確かに、Facebook, Twitter, Ustream, Instagramなどなど、最近の注目を集める企業はBtoBではなくてBtoCのサービス系が多い。
・人、企業の立地はシリコンバレー(南)からサンフランシスコ(北)へと変化
流行のビジネスがサービス系に変化しているのに合わせて、企業の立地も人口の多いサンフランシスコへと移ってきている。実際、上記のTwitter, Ustream, Instagramなどもサンフランシスコにオフィスがある。

インキュベーション施設の価値とは
個人的に川鍋さんとお話をさせて頂いて、印象的だったのはインキュベーション施設の価値についての話である。端的にいうならそれは「創発性」にあるということらしい。つまり、インキュベーション施設という”場”があることによって、そこで仕事を行う人々同士の出会いがあり、会話があり、それがきっかけとなって、既存ビジネスの発展、あるいは新たなビジネスにつながるケースがある。
シリコンバレーのPlug and Playは最も有名なインキュベーション施設の一つであろう。
また、上記の話の通り、最近はインキュベーション施設もサンフランシスコに移ってきている。
サンフランシスコのインキュベーション施設については以下が詳しい
最近San Franciscoで話題のCo-working Spaceまとめ
アメリカではインキュベーション施設で仕事を行うベンチャー企業が多い。
日本ではどうなんだろう?そもそも、日本にはインキュベーション施設がどれくらいあるんだろう?いや、日本には創発性を最大化するように設計されたインキュベーション施設がどれくらいあるんだろう?


トーク3: Nulab 代表取締役 橋本正徳さん

コラボレーションをキーワードにプロダクトを追求し、仕事の中に”楽しさ”を創り続ける。Cacoo、Backlogなどのサービスを提供。








なぜCacooが世界中のユーザーを獲得できたか?
先月のSF New Tech Japan Nightにも出場してプレゼンをして頂いたNulabのCacooというサービスがいかにして、海外のユーザーを獲得したかについてお話を頂いた。
端的にいうと、「海外のメディアカバー」の影響が相当大きかったらしい。
具体的にはAsiajin, Life hacker, TechCrunch, Mashable, New York Timesに取り上げられた後に海外のユーザー数が増加したそうです。
うん、やっぱり海外メディアへの広報活動は重要なんだなぁ。

アメリカで成功しないと日本で成功しない
橋本さんとお話ししている際に、おもしろいなぁと感じた一言、それは
”アメリカで成功しないと日本で成功しない” という一言。
確かに、日本で流行っているサービス、あるいはそのコンセプトってもとはアメリカ発であることがほとんどである。
アメリカでウケたサービスが日本でもウケやすいという事実に注目して、日本でヒットするために、初めからアメリカ(海外)向けにサービスをつくっていたという。
結局、何らかのWebサービスを立ち上げようと思ったら、常にアメリカを意識せずには成功しないということだろう。



トーク4: myGengo CTO Matthew さん
世界中で信頼される、本当に使える翻訳を低価格で手軽に依頼できるサービスを提供。
myGengo
http://ja.mygengo.com/








日本の良い点-東京という都市の人口密度
東京という都市の人口密度は世界的にも高い。すなわち、それだけ多くの”良き出会い”の可能性を秘めている都市である。一日東京にいるだけで、様々な人と会って、意見交換をすることができる。
この話は、sunbridgeの川鍋さんのインキュベーション施設の価値についての話に通ずる部分がある。

日本法人であることの問題
個人的にMatthewさんと話してて興味深かったのは、資金調達を試みた際にmyGengoが直面した問題についての話である。
まず、そもそも日本の投資家はあまり積極的に投資を考えてくれなかったらしい
やっぱり、日本の投資家のリスク許容度って低いってことなのかな。
ならばということで、アメリカの投資家に話をもっていった結果、投資をしてくれることになった。
ところが、このタイミングでmyGengoが日本で設立した日本の法人であることが仇となる。
というのも、日本の法律についてアメリカの投資家は詳しくないため、日本法人への投資は通常行わないらしい。
そこで、彼らは新たにアメリカで会社立ち上げて元の日本法人のmyGengoを新しくつくったアメリカの法人の100%子会社にしたらしい。
なかなか面白い事例。
結局のところ、アメリカ人の投資家から資金調達するならアメリカで起業しろってことなんだろう。



以上、イベントに参加してみて自分の心に残った話のみまとめてみた。
わずか、3時間で多くの貴重な体験談やアドバイスを頂けたと感じている。
残念ながら2日目のイベントには参加できなかったが、次回があれば是非また参加したい。
このような場を提供して頂いたF-questさんに感謝、そして今後のイベントにも期待!!



Teru Takizawa
twitter:@terutakizawa
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blog: A Way of Viewing the World

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